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2007年 4月11日
音楽雑誌「レコード芸術」4月号から短期集中連載で「コルンゴルトの冒険」という記事に目がとまった。僕にとっては知っている事ばかりで新鮮味も無いが、日本のメジャー雑誌でコルンゴルトが集中的に取り上げられたことは画期的な事である。幸い、ヴァイオリン協奏曲の日本初演者として僕の名前も出ていたのでホッとした。筆者が「圧巻」と書いた渡辺玲子さんの生は、僕も聴いた。当時としては画期的とも言える圧倒的な名演だったが、その後、五明カレンによるハイフェッツを彷彿とさせる名演に接してからは、いささか影が薄くなった。
いずれにしても、生誕100年に何も起こらなかった日本で、没後50年でようやくコルンゴルトに注目が集まっている事は歓迎すべき事である。
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待望のCD化である。思えば確か1980年、チェリビダッケがロンドン交響楽団と共に来日し、FMで生中継された「展覧会の絵」を聴いて圧倒的な感銘を受け、一度生に触れてみたいと思っており、1986年の手兵ミュンヘン・フィルを率いた来日東京公演には、全て足を運んだ。その皮切りが、この「展覧会の絵」である。ロンドン響との名演を上回る圧倒的な超名演で、生涯忘れられない感銘を受けた。
録音でしかチェリビダッケを知らない人には、スローなテンポに違和感を感じられる事と思う。しかし、生で聴くと、これ以上考えられないベストテンポに感じられるのである。これはもう「魔術」としか言いようがない。厳密に曲のアーティキュレーションを分析し、フレーズは弱音から拡大し、やがて弱音で収束するというチェリビダッケ流のフレーズ表現が理解できれば、これ以上の音楽表現は考えられなくなる。
とにかく日本音楽史に残る歴史的ドキュメントが録音されていたという事は望外の喜びであり、音楽は一回限りのものという考えで録音の価値を認めなかったチェリビダッケだが、このような優秀な録音で、実にユニークで天才的な音楽作りが現代に蘇った事に喜びを禁じえない。
チェリビダッケは紛れもなく20世紀最高の指揮者の一人である。フルトヴェングラーが他界した後、ベルリン・フィルが、カラヤンではなくフルトヴェングラーの秘蔵っ子チェリビダッケを迎えていたら、20世紀の音楽界はまったく違ったものになっていたことだろう。カラヤンは自分の地位を守るために、バーンスタイン、カルロス・クライバー、チェリビダッケを特別に警戒しており、この三者をベルリン・フィルに積極的に呼ばなかった。バーンスタインは一度だけ実現し、一発勝負の超絶的な名演でCD化もされているが、この三者がカラヤン時代にまともにベルリン・フィルを振る機会は遂に無かった。チェリビダッケは、カラヤンの死後一度だけベルリン・フィルを振っており、海賊盤で一回きりの名演に触れる事が出来る。
生涯忘れない思い出のパフォーマンス。優秀な録音が残っていて本当に良かった。まさに青天の霹靂、CD化されるとは夢にも思っていなかった伝説の名演。とても20年以上昔の録音とは思えない。昨日の出来事のように蘇った。久しぶりにCDで感動した。去年のリサイタルでピアノを頼んだ藤原由紀乃さんは、ミュンヘンでチェリビダッケの生をたくさん体験され、終生忘れない感銘を受けたとの事。藤原さんの素晴らしいピアニズムの陰には、チェリビダッケの芸術が有ったわけである。これを読んだ方が一人でもチェリビダッケの芸術に触れる事を祈らんばかりである。
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