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 戦前から戦後、日本中を魅了した歌声。日本が世界に誇る我らがテナー、藤原義江である。リリックな声質に加え、なんといっても、「藤原節」と呼ばれる独特な歌い回しが、日本人の心の琴線に触れる。ここでは、代表的な2曲を紹介する。

鉾をおさめて

箱根の山(箱根八里)

 迷わず、「ナイアガラ・カレンダー」と、「レッツ・オンド・アゲイン」である。

 セールス的には最も成功しなかった(ベスト100にも入らなかった)この2枚が無性に好きなのである。

 売れなかったわけは、共に時代を先取りしすぎていたから。もっぱらパロディとコミックソングだが、内容は底知れぬほど深い。

 とにかく聴いてみて欲しい。なお、「ナイアガラ・カレンダー」は30周年記念リマスター盤と旧盤が有るが、これは別物と言っていい。歌は同じだが、編集が大幅に異なる。詳述は避けるが、旧盤をおろそかにしているわけではない。どちらか1枚と言われれば、躊躇なく30周年記念盤だろう。1枚で2枚分楽しめる。音質も劇的に良い。

 「レッツ・オンド・アゲイン」では、名言「期待は失望の母である」も出てくる。30周年記念リマスタリングからは漏れたようだが、2011年に始まる第2弾に期待しよう。

 いずれにしても、30年を経ても全く衰えないパワーは凄い。どちらか1枚と言われたら、答えに窮する。とにかく、歴史的名盤であることは間違いない。

 先日はあっけなく頓挫したビートルズ全アルバムのマラソン・リスニングに再び挑戦。

 つまり、まだ聴いていない8枚と、パースト・マスターズ2枚を全て聴くという事。

 午前中から休憩をはさんで、午後8時に貫徹。今は、僕のブログと相互リンクしている「ちろの はねっかえりブログ」のちろさんが推薦してくれた、ムーンライダーズのCDを聴いている。

 さて、ビートルズを全て聴いた感想だが、まず、少なくとも不良盤は1枚も無くて、ひと安心。それで、感想は、まず最近は無視していたに等しかった初期録音が激烈に音質向上しているのを聴いて、新たな可能性を見い出した事。

 しかし、アルバム「Let It Be」はやはり違和感が有るな。Let It Be と Get Back は、シングルで出た(パースト・マスターズに入っている)バージョンの方が断然好き。

 それから、「ハード・デイズ・ナイト」がこんなに名曲連続とは、嬉しい再発見だった。他にも書きたい事は有るが、今は放心状態なので、この辺で。

 疲れた...

 先日注文したビートルズの新リマスターBOXだが、10月末の納期まではとても待てないと判断。反則技で入手してしまった。

 つまり、HMVの注文をキャンセルし、アマゾンで店を出している「ロンサムレコード」という店に4000円増しの39800円で昨日注文し、翌日の今日、あっけなく届いたというわけ。もちろん未開封新品。

 さて、今日はビートルズアルバム大マラソン大会で、全アルバムを聴こうと「プリーズ・プリーズ・ミー」から張り切って聴き始めたのだが、途中で我慢できなくなり(根性無しである)、「サージェント・ペパーズ...」、「ホワイトアルバム」、「アビイ・ロード」を聴いた。

 音の感想は、今まで白内障で曇っていた目が、手術で蘇った時のよう。とにかくクリアな音、別の聴き方をすると、地味な音とも言えなくもない。しかし、よく聴くと、今までにぎやかに思っていた音は、歪みと雑音だったのである(それにドンシャリ)。「アビイ・ロード」のシンバルは、今まで歪みまくっていたのがクリアになっているし、「サージェント・ペパーズ...」も、今まで聴こえなかった音が鮮明に浮き上がってくる。

 つまり、今まで英国輸入LPでしか聴けなかった生々しい音が、ようやくCDで蘇ったという事になる。

 ただし、これは僕が愛用している自作真空管アンプとスピーカーで聴いた感想なので、どのステレオでもこうなるとは限らない。

 さて、これで興味が湧いた人は、迷わずBOXを買う事。特典DVDは見ごたえが有るし、今まで知らなかったビートルズの魅力を逃さず味わえるから。廃盤になる事はまず無いから、あわてる必要は無い。

[後に加筆]

 その後、「イエロー・サブマリン」を聴いたが、これは劇的に音が良くなっている。国内盤LPの音しか知らないから当たり前かもしれないが、旧A面は彫りの深い生々しい音、旧B面のサントラは、今までのイージーリスニング風の音から、クラシカルな音になっている。

[さらに加筆]

 「ラバー・ソウル」を聴いた。これも劇的に音が良くなっている。特に、粒立ちの良い、耳の奥をくすぐるようなパーカッションは特筆するべき(真空管アンプのおかげかもしれないが)。これで分かった事は、今回のデジタル・リマスタリングの効果は、初期録音ほど顕著であるという事である。

 この歌(早春の港)が流行っていた頃は、僕は感情が最高に鋭敏になっていたな。久し振りに聴いて感動。昔の歌は良かったね。今の流行歌は乗りの良さばかり追求して真の歌心が無いね。

 世界同時発売で、今ブームとの事。しかし、80年代の技術でリマスターされた盤も、それなりの音はしていたからね。装いも新たに新リマスター盤発売と言われても、イマイチピンとこないな。

 でも、後期三大名盤は結局買っちゃうんだろうな。と、殆ど病気のビートルズファンなのであった。

[後日加筆]

 ああだこうだと考えていると、買った友達が「音の次元が違う」と大喜びしているのを聞いて、迷った末我慢できなくなり、ボックスを注文してしまった。現在在庫切れらしく、いつ届くかは不明。こんな事なら発売日に買うんだった...

 事の次第はこうである

  1. あるサイトが自他ともに有益であり、リンクについて記載がなかったため、リンクフリーと判断し(これはインターネット公然のルールであり、これについて論議する用意は無い)、本サイトからリンクを張った。
  2. 後にそのサイトのメールボックスにSPAMが届くようになり、管理人はリンク承認制に変更した。
  3. 僕としては、リンクしているものとして、管理人に一言挨拶のメールを送った。
  4. ところが管理人は、僕の事を「無断でリンクを張るとは無神経で傲慢」と、僕を罵倒した。
  5. 僕はインターネットのリンクのルールを書いたメールを返信、しかし、管理人は僕のメールに返信せず、自分のサイトの管理を放棄し、他人に管理人の座を譲った。
  6. 僕は機を見て、そのサイトで反論を記述。しかし、テーマに沿っていないというクレームが新管理人のもとに殺到。紆余曲折の後、新管理人は僕の発言を削除。その代わり、そのサイトをリンクフリーにする事で事態の収拾を画策。新管理人は、リンクに関する僕の意見に賛同。当該トラブルは、一応の収拾を見た。

 というのが事の次第である。しかし、よく考えてみて欲しい。テーマに沿わない発言をした僕は悪い。しかし、元はと言えば、リンクのご挨拶をした僕に対していきなり、「傲慢で無神経」と罵倒した旧管理人に全ての問題が有るのである。

 ここで、整理の意味も込めて、僕が旧管理人に送ったメールを再録しておく。(一部個人名を置換)

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 僕はもう10年以上インターネットしていますが、リンクに関しては、許可なくリンクしても自由と認識しております。それがインターネットのルールと認識しています。無断でリンクした私に非は有りません。それに、mixi の場合、リンクをクリックしても、メンバーでログインしないとコンテンツを見ることはできませんので、その点安全と判断しました。

 リンクに許可が必要であるならば、その事を明記しておくべきだと思います。何も書かれていなければ、リンクフリーと認識します。それでトラブルが起きた場合、これは管理人の責任です。

 リンクした事について、傲慢で無神経とまで言われる筋合いは、私は無いと思っております。

 インターネットで情報発信する以上、不特定多数色々な人が見ることは仕方がない事です。中には常識をわきまえない人もいるでしょう。例えば[旧管理人]さんは2ちゃんねるに出入りしておられるようですが、あそこの人たちの非常識さ、無神経さは目に余るものが有り、私はほとんど見ることが有りません。

 僕は、最低限度の礼儀として、変なメッセージが届いているとの事なので、ご挨拶したまでです。リンクした僕に非は無く、変なメッセージや嫌がらせにいちいち神経質になっていたら、インターネットはやってられないというのが僕の意見です。それに、変なメッセージが僕のサイトを経由して来たという証拠はどこにも有りません。

 結論として、インターネットのルールとしてリンクは自由であり、僕のリンクに悪意は無く、ヒステリックに「無神経で傲慢」とまで言われるのは心外であり、サイトの宣伝として、一人でもメンバーが増える事を祈ってリンクしたのですから、許可がないという理由だけで削除する必要は無いと私は判断します。

時津英裕

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 このメールに何の返信もしなかった旧管理人が一番悪いのである。新管理人の判断は、双方を立てた妥協の産物であり、テーマに沿わない発言を書いた事を除き、そもそも一番悪いのは旧管理人なのである。

 それにしても、新管理人にクレームを送ったメンバーの中に、旧管理人が含まれていたというから呆れる。ここでもう一度明言しておく。

 悪いのは旧管理人であり、僕には何の非も無い。

 そもそも僕が行った事は、リンクフリーのサイトにリンクしただけである。悪意は全く無い。そのサイトが一人でも多くの人の目に触れることを願ってのリンクであった。それを「傲慢で無神経」とは笑止千万。この旧管理人は、ネットから去るべきである。

 愛聴盤の紹介である。ハイドシェックほど自由奔放でチャーミングなモーツァルトを奏でるピアニストを僕は他に知らない。まぎれもなく天才である。

 ハイドシェックには新しい録音も有るが、ここで取り上げるのは若いころに録音したモーツァルトの協奏曲である。曲によっては、やや若さが勝った演奏もあるが、こと23番と25番に関しては、これを超える演奏は永遠に現れないのではないかと思えるほど冴えまくっている。

 生には触れる機会が無いかと思っていたのだが、約10年ほど前、ひょんなことから招待券をもらってシューマンのピアノ協奏曲を聴いた。自由奔放なピアニズムは、かけらも変わっていなかった。

 このモーツァルトは、モーツァルトが生き返ったのではないかと思えるほど冴えまくった名演である。これを機会に多くの人に聴いてほしい。タワーレコードで扱っている。在庫僅少の模様。ご注文はお早めに。

 例によってわざと音を悪くしたサンプルを2曲(オリジナルは Hi-Fi ステレオ録音です)

heidsieck.jpg

23番第3楽章

25番第1楽章

 寝耳に水とはこの事。目が覚めてテレビをつけるやいなやショッキングなニュース。まだ50歳というのに、いくらなんでも若すぎる。今後のニュースに注目したい。

 それにしても YouTube というのは名曲名演の宝庫だね。今日は吉田拓郎の名曲「今日までそして明日から」。ジャパニーズ・フォーク・ソング最大の天才の最高の曲を3テイク。これは個人的なリクエストだけど、「ゲゲゲの鬼太郎」白黒時代夏のエンディング・テーマ、「無い無い音頭」を誰かアップしてくれないかなぁ。

 今日は美空ひばりの20回目の命日だそうである。美空ひばりについて過去に書いた文が有るので再掲する。使っている映像は、まだ YouTube が英語だった頃にアップされたものだが、未だにこれ以上の音源は見いだせない。

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 なんで僕が美空ひばりなのかというと、昔、北池袋に住んでいた頃、行きつけの床屋のおばちゃんが美空ひばりの大ファンで、コンサートに欠かさず通った話やハプニングの話など、エピソードを色々と聞かされているうちに、ファンになってしまった。そこで YouTube で昔から公開されているとっておきのクリップを3つ紹介する。1つは全盛期の名唱、あと2つは若き日の名クリップ。共演者は堺駿二、フランキー堺と思われる。古き良き時代のロマンティシズムを感じさせる、とびきりの映像である。七変化・狸御殿は埋め込みが出来ないので、YouTube の当該ページへのリンクでご勘弁願いたい。YouTube の混み具合などで、正常に再生できない場合が有ります。そのような時は、しばらく時間を置いて再アクセスしてください。

お祭りマンボ(全盛期の武道館ライヴ)

七変化・狸御殿(その1)

七変化・狸御殿(その2)

 カラヤンびいきの音楽評論家、黒田恭一さんが亡くなられた。その功罪はともかくとして、音楽を大衆に広めた事は、称賛に値するだろう。71歳は若すぎる。

 今まで悪口を言った事も有ったが、亡くなられてみると、一抹の寂しさを禁じえない。日本音楽評論界の「顔」の一人だったから。

 クリスタルCDというのが有るそうな。今日アマゾンから案内メールが来たのだが、クライバーのベートーヴェン5/7番で、かつてない音質のクリスタルガラスCDで、値段が200000円だと。

 どんな材質でCD化しようが、16bit44.1kHzである事には違いは無い。それで音質で差を付けようとすれば、リミックスしかない。最近の24bit以上のオーバーサンプリングに最適化してマスタリングすれば、音質に差は出よう。ご親切に通常版のCDも付属するようだから、音質を比較するのも面白いかもしれないが、一度クリスタルCDからCD-Rにデジタル・コピーして聴き比べてみるがよい。デジタル・コピーである限り、クリスタルCDと音質的には変わらないはずである。入っているデータは1と0だけだから、材質と音質は関係ない事がわかるであろう。

 それに、いかにクリスタルガラスといえども、樹脂ディスクに比べれば割れやすい。大枚はたいて買う人は、この辺も考慮する必要がある。また、樹脂ディスクより重いから、最悪の場合、CDプレーヤーを傷める可能性がある。

 ベルトドライブだの純金箔だのクリスタルガラスだのと、色々出てくるが、16bit44.1kHzである限り、音質には限界があり、SACDでもない限り、音質に差は出ないのである。ましてやこんなCDに20万円も投資する必要は全く無い。演奏も、来日公演で見られたクライバーのベスト・パフォーマンスには足元にも及ばない。こんなふざけたボッタクリCDを買う奴の顔を見てみたい。

 まず、下の動画を見てほしい。見事な演奏である。メニューインは1960年台になっても調子のいい時はこんなすごい演奏をするのかと、心の底から感動した。ところが...

 次の画像を見てほしい。

 60年代のメニューインは、やはり60年代のメニューインだった。つまり1934年の音声を1960年代の画像に重ねた物という事になる。

 しかし、右手が震えようが何が起ころうが、メニューインはメニューインである。20世紀最高のヴァイオリニストの一人には違いない。映像を作成した人は、速度を変えたりタイミングを合わせたりと、大変な苦労をしたと思われる。そこまでやる意義はともかく、一時の夢を与えてくれた作者には感謝。

 昔、LPレコードの傷や針飛びを楽団でやったギャグは有ったが、今の時代はこれ。主演はギドン・クレーメル。超一流のスターがやるところに意義がある。

 今日、TBSニュースで、東北楽天の野村監督を、高橋尚子さんがインタビューしているシーンが有った。タイプは違うが、僕の師匠、江藤俊哉先生と共通点を感じた。それは、

 「選手の特性を瞬時に見抜き、良い部分は褒めまくって伸ばし、弱い部分は根本から鍛えなおす」、という事である。

 今思い出しても恥ずかしいのだが、僕は江藤先生のレッスンで、フランクのソナタを弾きながら泣いてしまった。それまでのレッスンは、まさに地獄だった。それまでため込んだ感情のすべてを吐き出してしまった。しかし、これが原因で、江藤先生が桐朋の学生にこの事を言いふらし、僕は学校で有名人になり、友達も出来、地獄だった人生が好転した。

 後は、先生に言われるまま弾いていれば、どんどん技術的にも音楽的にも自分が向上している事を体感する事が出来た。正に、江藤先生様様である。その江藤先生が、いよいよお別れという時に、僕に何と言ったかは、まだ秘密にしておこう。音楽表現の骨子とも言える重要な事なのだが、今でも実践できているとは言い難い。僕の一生の課題である。

 そんな江藤先生を最後に訪れたのは、初めて習って20年後の2006年であった。当時僕はリサイタルの準備でてんてこ舞いだったのだが、江藤先生の姿は、それまでとは違っていた。しかし、アンジェラ先生が、「あなた!時津君よ!」と言い、こちらを向いた江藤先生の顔、姿は、今でもはっきり覚えている。江藤先生は変わっていなかった。

 これからも、江藤先生の教えは、僕を支配し続けるだろう。しかし、そういった江藤先生の呪縛から脱皮する事も必要である。江藤先生は、そのための余白も、ちゃんと用意してくれている。江藤先生偉大なり!僕は先生の教えを終生忘れない。

 最近、友人の協力もあり、マーラーの交響曲を集中的に聴いた。全部でCD60枚以上。5番だけでも10枚を超え、他に念を入れて聴いたのは、6、7、9番である。

 友人への感謝もこめて、全てのCDを念を入れて聴いたつもりだが、量がここまで膨らむと、どれがどれだったかわからなくなってくる。

 今でも印象に残っているのは、シャイー/コンセルトヘボウの一連の録音、これらは本当にレベルが高い。ラトル/バーミンガムの7番、カラヤンの9番(ライヴ)、ドゥダメルの5番は若々しく将来性を感じさせる力演。ブーレーズの5番はブーレーズ再評価に値する名演。テンシュテット/ロンドン・フィルの5番(ライヴ)はもちろん定番。レヴァイン/フィラデルフィアの5番9番は、若かりし日のレヴァインの気概を感じさせる名演。

 最古の名演は、ワルター/ウィーン・フィルの9番、「大地の歌」。それにメンゲルベルクの4番。ワルターが1952年にウィーン・フィルを振った「大地の歌」は、スタジオ録音、ライヴ共、歴史的名演。

 これらの中で、最もインパクトが強かったのは、ラトル/バーミンガムの7番である。僕はラトル/バーミンガムを今まで集中的に聴いた事がなかったが、このコンビは歴史的名コンビといってよいほど相性が良い。ベルリン・フィルではイマイチ実力を発揮していないラトルだが、過去にはこんな名演を残していたのかと、その底力に恐れ入った。ラトル/ベルリン・フィルの5番はイマイチだったが、9番には、ベルリン・フィルという大きな壁を乗り越える端緒を感じた。これからも期待したい。無敵のペアになる可能性もある。

 これだけの量を聴くと、どれがどれだったのかわからなくなってくる。しかし、これだけの録音を集中的に聴けたという事は、これからの音楽人生に少なからず影響するだろう。聴かせてくれた友人には、ひたすら「感謝」である。

 今回強く感じたのは、マーラーの演奏が新しい時代を迎えているという事である。ワルターやバーンスタインが定番だった時代は終わり、かつては不可欠と言われたユダヤの血も、今では必ずしも必要ではなく、純音楽的に「正しく」演奏する事が、最も重要になった。

 テンシュテットでさえ今となると古さを感じる。カラヤンは不思議と古さを感じない。いつものカラヤンだと、5番のように、例の情けないレガートで全体をまとめてしまいそうだが、9番でのカラヤンは、そのようなものを感じさせず、純音楽的な底力を感じる。時代を先取りした名演と言えるだろう。カラヤンにはスタジオ録音もあるが、敢えてライヴをCD化した所を見ると、余程の自信が有ったと思われる。9番の名演は多いが、これはベストワンかもしれない。カラヤンは他界したが、最後の輝きを見た。これからも、様々な指揮者によって、潜在意識や固定観念を超える名演が生まれることだろう。楽しみでならない。

 これは忘れもしない、ホロヴィッツがホワイトハウスで演奏したライヴである。1978年と言えば、ホロヴィッツのタッチが最後の輝きをもっていた年。まだビデオも普及しておらず、録画できない中、画面に張り付くようにして聴いた幻のライヴ映像である。アメリカで再放送されたのか、YouTube で復活したため公開する事にした。「真のヴィルトゥオーゾ」の至芸をお楽しみください。

ショパン:英雄ポロネーズ

ホロヴィッツ:カルメン変奏曲

 サイモン・ラトルがバーミンガムのオーケストラを振ったマーラーの7番と3番を聴いた。バーミンガムのラトルを聴くのはこれが初めてである。最近のベルリン・フィルを振った録音は聴いた事が有ったのだが、あまり感心しなかった。今回バーミンガムの録音を聴いて、心の底から驚いた。ラトルは現在世界最高の指揮者かもしれない。最近はベルリン・フィルで四苦八苦しているようだが、バーミンガムでの録音では、底知れぬ才能を感じさせる。

 オケからコーラスの隅々まで神経の行き届いた音色と音程の統一感。自然体でありながら、曲のディテールの一つ一つをかけらたりとも逃さず音にしている様は、指揮者とオケが蜜月状態だった事を物語っている。指揮者とオケの信頼関係がひしひしと伝わってくる。

 ベルリン・フィルを指揮したラトルは、今のところ本領発揮しているとは、お世辞にも言い難い。しかし、これから時間をかけてオケを手中に収めれば、カラヤン以来のベルリン・フィル黄金時代が再び来るかもしれない。

 それにしても、イギリスの地方オケに、ここまで出来るものか。現実とは思えない。

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