フルトヴェングラーの演奏をステレオで聴きたい。音楽ファンなら誰でも夢見る事である。しかし残念、フルトヴェングラーにステレオ録音は無い。昔は、ブライトクランクという方式の疑似ステレオも有ったが廃れた。
となると、誰かがフルトヴェングラーとそっくりに振った演奏をステレオ録音で探すことになる。そんなもの有るはずが無い!?ところが、有るのである。それは、1982年、ザルツブルク音楽祭で、クラウス・テンシュテットがウィーン・フィルを振った、ベートーヴェンの「エロイカ」である。
当時FMで放送され、聴いてびっくりした。4楽章の主部の入りのテンポが速い以外は、1952年のフルトヴェングラー/ウィーン・フィルの演奏に瓜二つだったからである。特に、スローテンポのスケルツォは、フルトヴェングラーと言われたら騙されてしまうほど似ている。
解説者が混乱して、狼狽していたのが懐かしい。こんな演奏を聴かされたら、誰だってびっくりする。テンシュテット/ウィーン・フィルとは意外な組み合わせだが、これはバーンスタインの代役だったらしい。その結果が、フルトヴェングラーと瓜二つのとんでもない名演である。
親友のY君に教えてもらったのだが、この演奏がCD化されているらしい。さっそくアマゾンで検索、ヒットした。「1点在庫有り」。即入手。懐かしい演奏が蘇った。フルトヴェングラーを頭に思い浮かべながら、ステレオの名演を聴くという夢が実現した。
騙されたと思って聴いてみるとよい。フルトヴェングラーをステレオで聴くという夢が実現する。

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