このグローフェという作曲家、この「グランド・キャニオン」とかガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」の編曲だけで有名な作曲家だが、こと駄曲と思われている「グランド・キャニオン」が、ドラティの魔術で名曲に変身する。とにかく、楽譜に書いてある事をそのまま音にしただけなのに、この変貌は何なのか。カップリングのガーシュイン「ポーギーとベス」も素晴らしい。
ドラティは、1960年代までは、オーケストラ・ビルダーとしての名声は有ったものの、表現が作為的で、感動とはほど遠いものであった。そのドラティが、1970年代になって急変する。わざとらしい表情は影も形も無くなり、有るのは楽譜通りの純音楽のみ。最高傑作は、コンセルトヘボウとの「くるみ割り人形」全曲。これも楽譜通りに演奏しただけなのに、ハンガリー人特有のリズム感で音がはじけ飛ぶ様は、まさに円熟しきった名人芸であろう。


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