最近、友人の協力もあり、マーラーの交響曲を集中的に聴いた。全部でCD60枚以上。5番だけでも10枚を超え、他に念を入れて聴いたのは、6、7、9番である。
友人への感謝もこめて、全てのCDを念を入れて聴いたつもりだが、量がここまで膨らむと、どれがどれだったかわからなくなってくる。
今でも印象に残っているのは、シャイー/コンセルトヘボウの一連の録音、これらは本当にレベルが高い。ラトル/バーミンガムの7番、カラヤンの9番(ライヴ)、ドゥダメルの5番は若々しく将来性を感じさせる力演。ブーレーズの5番はブーレーズ再評価に値する名演。テンシュテット/ロンドン・フィルの5番(ライヴ)はもちろん定番。レヴァイン/フィラデルフィアの5番9番は、若かりし日のレヴァインの気概を感じさせる名演。
最古の名演は、ワルター/ウィーン・フィルの9番、「大地の歌」。それにメンゲルベルクの4番。ワルターが1952年にウィーン・フィルを振った「大地の歌」は、スタジオ録音、ライヴ共、歴史的名演。
これらの中で、最もインパクトが強かったのは、ラトル/バーミンガムの7番である。僕はラトル/バーミンガムを今まで集中的に聴いた事がなかったが、このコンビは歴史的名コンビといってよいほど相性が良い。ベルリン・フィルではイマイチ実力を発揮していないラトルだが、過去にはこんな名演を残していたのかと、その底力に恐れ入った。ラトル/ベルリン・フィルの5番はイマイチだったが、9番には、ベルリン・フィルという大きな壁を乗り越える端緒を感じた。これからも期待したい。無敵のペアになる可能性もある。
これだけの量を聴くと、どれがどれだったのかわからなくなってくる。しかし、これだけの録音を集中的に聴けたという事は、これからの音楽人生に少なからず影響するだろう。聴かせてくれた友人には、ひたすら「感謝」である。
今回強く感じたのは、マーラーの演奏が新しい時代を迎えているという事である。ワルターやバーンスタインが定番だった時代は終わり、かつては不可欠と言われたユダヤの血も、今では必ずしも必要ではなく、純音楽的に「正しく」演奏する事が、最も重要になった。
テンシュテットでさえ今となると古さを感じる。カラヤンは不思議と古さを感じない。いつものカラヤンだと、5番のように、例の情けないレガートで全体をまとめてしまいそうだが、9番でのカラヤンは、そのようなものを感じさせず、純音楽的な底力を感じる。時代を先取りした名演と言えるだろう。カラヤンにはスタジオ録音もあるが、敢えてライヴをCD化した所を見ると、余程の自信が有ったと思われる。9番の名演は多いが、これはベストワンかもしれない。カラヤンは他界したが、最後の輝きを見た。これからも、様々な指揮者によって、潜在意識や固定観念を超える名演が生まれることだろう。楽しみでならない。


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