今日、TBSニュースで、東北楽天の野村監督を、高橋尚子さんがインタビューしているシーンが有った。タイプは違うが、僕の師匠、江藤俊哉先生と共通点を感じた。それは、
「選手の特性を瞬時に見抜き、良い部分は褒めまくって伸ばし、弱い部分は根本から鍛えなおす」、という事である。
今思い出しても恥ずかしいのだが、僕は江藤先生のレッスンで、フランクのソナタを弾きながら泣いてしまった。それまでのレッスンは、まさに地獄だった。それまでため込んだ感情のすべてを吐き出してしまった。しかし、これが原因で、江藤先生が桐朋の学生にこの事を言いふらし、僕は学校で有名人になり、友達も出来、地獄だった人生が好転した。
後は、先生に言われるまま弾いていれば、どんどん技術的にも音楽的にも自分が向上している事を体感する事が出来た。正に、江藤先生様様である。その江藤先生が、いよいよお別れという時に、僕に何と言ったかは、まだ秘密にしておこう。音楽表現の骨子とも言える重要な事なのだが、今でも実践できているとは言い難い。僕の一生の課題である。
そんな江藤先生を最後に訪れたのは、初めて習って20年後の2006年であった。当時僕はリサイタルの準備でてんてこ舞いだったのだが、江藤先生の姿は、それまでとは違っていた。しかし、アンジェラ先生が、「あなた!時津君よ!」と言い、こちらを向いた江藤先生の顔、姿は、今でもはっきり覚えている。江藤先生は変わっていなかった。
これからも、江藤先生の教えは、僕を支配し続けるだろう。しかし、そういった江藤先生の呪縛から脱皮する事も必要である。江藤先生は、そのための余白も、ちゃんと用意してくれている。江藤先生偉大なり!僕は先生の教えを終生忘れない。

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